うるち米を洗って乾燥させて製粉したものです。もち米に比べて粘りが少なく膨張力も弱いのですが、独特の歯ごたえがあり、主にだんごや柏餅など餅菓子類の材料に使われます。粘性があればあるほど良質とされています。上用粉(薯蕷(じょうよ)饅頭やういろうをつくるときに使われる粉)・カルカン粉(カルカンつくるときに使われるうるち米の粉)の代用にもなります。


強力粉・中力粉・薄力粉の3種類があり、菓子の場合には、軟質小麦(粒が柔らかい種類の小麦)からつくられる薄力粉が多く使われます。小麦粉に含まれるたんぱく質(グルテン)のもつ粘力性、弾力性が火のとおりを悪くし、歯切れが悪くなります。このため、歯ざわりが重要視される菓子はグルテンの少ない薄力粉を利用するのです。小麦饅頭(生地を小麦粉でつくった饅頭)、ういろう、焼菓子、蒸し菓子などの材料になります。


もち米を洗って砕いてから乾燥させ、挽いた粉です。粘性のある粉はもち米独特の風味が残っていて、手ざわりもさらさらとしています。餅粉を使って求肥(ぎゅうひ)(餅粉に砂糖と水飴を加えて練り固めた、柔らかで弾力のある餅のような生菓子)をつくると、白玉粉(もち米を石臼で水挽き製粉して、脱水して細かく切って乾燥させたもの)でつくられたものよりも風味が豊になります 。


本来は山野に自生するカタクリの根からとったデンプンを意味していましたが、現在ではジャガイモのデンプンを指します。片栗粉で菓子をつくることは少なく、むしろいろいろな材料にまぜて使い、歯切れをよくしたりつやを出す効果と手粉てごな(もちとり粉ともいい、餅つきのときに餅が手や板につかないようにする粉)として多く使われます。


桜餅やつばき餅をつくるときに使われる粉です。もともとは残りのご飯を干して家庭でつくられていました。現在ではもち米を一晩水につけて蒸し上げ乾燥させたものを、臼で挽いてふるいにかけて粒をそろえたものが市販で売られています。大阪の道明寺でつくられたことからこの名前がついたようで、関西の桜餅をつくるときには欠かせないものになっています。


ついた餅をごく薄く延ばして鉄板で焼き、それを挽いて粉末にしたものをみじん粉といいます。これをさらにふるいにかけた上みじん粉が寒梅粉です。梅の咲く寒い季節につくられたものが上質とされ、この名前がついたそうです。舌ざわりのよさと香りが求められ、落雁(らくがん)をつくるときに多く使われます。


うるち米を洗って乾燥させ製粉したもので、杵でつく胴づきという製法をとります。主に薯蕷じょうよ饅頭やういろうの生地をつくるときに使われます。上新粉(餅菓子類をつくるときに使われる粉)より粒が細かく、最上の粉で日持ちがするのですが、手に入りにくいものでもあります。また、上新粉より歯ごたえ・弾力が強くなり、もちっとした触感が得られます。


道明寺粉の細かい粒をこがさないように煎った白い小粒の軽い粉です。上南粉だけではおかしをつくることはできませんので、少量を他の粉に混ぜて使われ、利用範囲はかなり広くなります。上新粉(餅菓子類をつくるときに使われる粉)での代用も可能です。


大豆を煎って挽いたものがきな粉になります。中でも青豆、きな粉豆といわれる緑色の大豆でつくったものがこの青黄名粉と呼ばれています。緑色で「うぐいすきな粉」とも呼ばれ、ひじょうに香りのよいものとして、半生菓子のすはま(求肥ぎゅうひにきな粉をもみこんだ薄緑色の細工菓子)の材料として用いられます。新しいものほど風味がよいとされています。


久寿桜をはじめ、葛菓子の材料に使う白くかたまったものを指します。山野に自生する葛の根から採られ、デンプン類と比べると、味・栄養価に優れていて、煮ると透明に近い糊状になります。色が白く寒い時期につくられたものが上質とされ、吉野葛が最上質といわれています。葛だけをつかった本葛は、デンプンなどを混ぜ合わせてある並葛とは区別され、値段も格段に違います。